小田垣商店 宿泊棟「豆家」
兵庫県
2025
江戸後期から大正初期にかけて建築された小田垣商店の大小10棟の建築群は、2008年に国の登録有形文化財に指定されている。今日の改修に至るまで、建物は事務所や倉庫、作業場など、黒豆問屋としての仕事を担うものとして活用されてきた。社会的な状況の変化に対応して、生きた文化財として広く一般の方に見ていただく機会を作ること、河原町商家群とともに観光の拠点となり地域貢献を担うことを目指した。また、開かれた場所を作ると同時に安全性の担保、耐震性の問題点を克服することが、物理的な対応として求められた。
商家の建物としてその優美さを誇った建築群の完成期である大正期に思いを馳せて、建物そのものを文化的資源と考え、商家特有の小屋組や旧来の工法に習い、また空間構成や仕上げにおいて時間を巻き戻してゆくように、「時代を還る建築」として向き合い再構成を成し遂げたのである。豆家の2階から甍の連なりを眺めつつ、往時に心を巡らせ寛いだ時間を過ごしてほしい。
新素材研究所