仙石原の家
神奈川県
2025
箱根仙石原、約1600平米ほどの敷地に、南北を横断するように小さな枯れ沢があり、東側に向かって緩やかに傾斜がある。深緑に囲まれた敷地では、湿気を考慮して、西側の高台に建築を配棟して、東側の敷地を大きく開けた。高台から見る景色、東側にのぼる朝日や月の見え方も考慮して高さや配置を決めている。建築面積は約260平米、木造平屋。屋根は中央部を瓦屋根として、外周部は銅板葺きで3段熨の棟瓦を配している。
内部の構成としては、中央部にリビングとダイニングを配置し、エントランスからは回廊を歩くかのように畳敷きの廊下を巡らせ、外周部に各居室を設けた。リビングとダイニングは、天井が高く、大ぶりの栗材を柱と梁にして、古民家がもつ力強さを表現したいと考えた。逆に外周部に配置した廊下と居室は、天井高が低く外部に水平に広がっていくような、数寄屋建築になっている。エントランスは広く一枚板のタブザクラを上がり框として、三畳敷きの取次とした。そこから続く畳廊下の先には東側の景色があらわれ、天井の高い中央部に導く。低いところから水平に広がり、天井の高いところへ導く、視線の移ろいと回遊性について考慮された構成になっている。
外周部は赤味が強く、野生味のある越後杉を用いた。外壁には唐松を縦張りとして、押さえ縁がアクセントになっている。内部の仕上げは、越後杉の造作材が美しく見えるように、また壁は漆喰で調湿についても考慮した。
また、温泉地であることから、来客時に使う大きめの風呂、主寝室に付属するテラス風呂、主寝室の内風呂と大小三カ所の風呂を計画した。大きめの風呂は、2辺開口の窓を開け放つと、屋根付きの露天風呂のようになり、テラスと一体的に東側の景色を存分に楽しむことが出来る。仕上げには壁天井共に高野槙を使い浴室の香りがとても心地よい。主寝室にはプライベートなテラス風呂と内風呂があり、テラスからは同様に東側の景色が存分に楽しむことができる。
榊田倫之